
もともと、10年後の未来を1975年に予測して文藝春秋に掲載された論文で、1984年に文庫化された本なのですが、昨年2012年に新書化されました。今の時代のことを言い当てているような内容です。
「パンとサーカス」は、その代表的なキーワードとして取り上げられています。ローマが紀元476年に滅亡した理由として、戦争などで経済的に窮した市民が求めたため、政治家かは支持と人気を得るためにパンを与えた。働かずにパンを保障された市民は、次第に時間を持て余したため、次に退屈しのぎのサーカス(格闘技や競技)を供給されるようになった。というものです。
働かずに「パンとサーカス」を権利として得られるようになり、ローマ市民は精神的および道徳的退廃と衰弱を開始した。と紹介されています。ローマは他国からの侵略ではなく、自国の内側から崩壊して滅びた、自殺したと。。
ちょっと前の民主党の政策も、手当や無償化など、国民の人気取りのためのバラマキで、「パンとサーカス」と同じことを繰り返しているように思えます。言葉は不適切ですが、本のタイトル通り「日本の自殺」です。
これら「親の世代が築いた遺産である文明を相続するだけで、自らは文明に対してなんら責任をもとうとしない人」を、大衆的人間(甘やかされて慢心した坊ちゃん)として、該当する政治家やそれを支持する国民を問題視しています。
。。久しぶりに中身の濃い本と出逢えました。