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式年遷宮後の伊勢神宮に行った目的は、古殿地拝観、つまり本殿を建て替えたことで古殿となったこれまでの正宮の敷地内の拝観(見学)です。

2年前に父親仲間20数名と伊勢神宮に参拝した時に、式年遷宮後の半年間だけは一般人でも正宮の中を見ることが出来ると聞いて、その時期が来たら家族と行こうと決めていました。

そこで、ネットで式年遷宮や敷地の中に入れる条件を色々と調べたのですが、特別参拝したいと寄付すれば敷地内で参拝できるとか、特別な会員にならない限りできないとか、ぼんやりした内容ばかりでした。結局、そんな半端な知識のまま行ったのです。

それでも服装についての情報は多く見つかりました。普段の神宮の行事では正装、つまりモーニングを来て参加している場ですから、私は黒無地のスーツに白シャツとネクタイに黒革靴としました。ストライプが目立つスーツやシャツ、カラーシャツや茶色の革靴、などもNGという情報や、ジャケットを持ってこなかったために断られて、慌ててジャケットを現地で買ってきた人もいるようです。息子の服装も私とほぼ同じで、革靴だけ茶色でしたが大丈夫でした。妻は、ブラウスも含めて黒一色の服装にしたので問題なしです。

そして、神楽殿の御祈祷受付で「特別参拝したいのですが申込はこちらで良いでしょうか?」と聞いたところ、「伊勢神宮では特別参拝というものはありません。」と愛想のない返事。「本殿の近くまで行って参拝したいのです」というような想いを伝えて粘ったところ、ようやく「寄付をいただければ、そのお礼として垣根の内側で参拝できます」というような回答。参拝が目的ではダメですよ、と言いたいようなので、最初から「寄付をしたいのですが」と伝えたほうが、手続きがスムーズに行くと思います。

そこで1000円から可能な寄付をしたところ、絵葉書付きの特別参宮章をいただきました。5000円未満はこのタイプのようです。「これを正宮入口の左手にある建物で受付すれば案内してくれます」と、さっきとは別人のような対応で優しく答えてくれました。(違う担当者だったからかな?)

伊勢神宮の正宮の玉垣の内側での参拝が御垣内特別参拝(みかきうちとくべつさんぱい)で、いわゆる特別参拝です。普通の参拝では、一番外側の板垣と外玉垣の間のエリアで参拝します。今回の御垣内特別参拝の場合は、外玉垣と内玉垣の間にある中重鳥居の手前まで移動して行いました。寄付の大きさによっては、もっと本殿近くまで行けるそうです。

正宮入口の左手にある宿衛屋が受付で、先程いただいた特別参宮章を見せると、「お住いの都道府県と氏名と人数を記入してください」と言われたので、渡された筆ペンで記帳。その後、コートと荷物は棚の上の置いてから横一列に並びました。

入る前にお清めをしていただいてから、神官の方に先導されて、敷き詰められた白い玉砂利をじゃりじゃりと踏みしめながら歩いていき、二礼二拍手一礼して参拝させていただきました。全部で10分程度の時間ですが、家族3人だけでの出来事でしたので、とても特別の時間となりました。また、玉垣の外の多くの人の視線を感じました(笑)。


普段の御垣内特別参拝は、ここで終了ですが、式年遷宮の後(10月の遷御の儀の後)から半年間は、古殿地拝観として一般の人でも本殿の近くまで見学することが許されるのです。今回の式年遷宮では、外宮のほうの正宮が対象で、神官や警備の案内もなく自分のペースで見学できました。

新しい正宮で御垣内特別参拝した後、左手に通路があって御垣沿いに歩いていくと、隣の正宮の北宿衛屋(裏側の入口)まで進みます。そこから、外玉垣、内玉垣、瑞垣、を通過して、一番内側のエリアから御正殿のすぐ近くを歩いて眺められるルートになっています。ゆっくり家族と歩きながら、時には立ち止まって、「20年も経っているのに金属の部分はピカピカだね」とか「木製の部分は年季が入ってるね」と見たままを言葉にしたり、「歩いていると気持ちいいね」と荘厳な雰囲気を感じたりと、普通に話したり立ち止まったりしていましたが、要所要所にいる警備の人に注意されることもなく拝観を終えました。

伊勢神宮に参拝するほとんどの人が、この御垣内特別参拝やこの時期だけ許されている古殿地拝観を知らないと思います。だって旅費よりも少ない寄付(1000円)で特別な体験が出来るのですから、もっと多くの人で行列になっていても良さそうです。待ち時間ゼロで、自分達だけのために神官が案内してくださったのは嬉しいのですが、もっと伊勢神宮に関心を持つ人が増えてもらいたいなと思いました。

。。20年後も古殿地拝観があれば、ぜひ参加しようと思います。