6月1日から施行された改正酒税法について、いろいろと勘違いしていたので整理しました。

先週話題になった、ビール値上げのニュースは、今回、施行された酒税法の改正内容のうち、酒類業組合法第86条の4(公正な取引の基準に関する命令)に規定する命令に違反した場合にも、税務署長が酒類の販売業免許等を取り消すことができる要件となったことです。

公正な取引の基準とは次の内容です。
「酒類業者は、(1)正当な理由なく、酒類を総販売原価を下回る価格で継続して販売する取引であって、かつ、(2)自己又は他の酒類業者の酒類事業に相当程度の影響を及ぼすおそれがある取引を行ってはならない。」

これにより、酒類のうち、安売りスーパーの目玉で赤字覚悟で販売していたビール類を値上げすることになったということです。

一方、ビール類のうち、プライベートブランドは、スーパーを覗く限り、据え置き価格で販売されています。自社で作っていて、メーカーからのリベート等の原資もないため、もともと原価を上回る価格で販売していたのだと思います。
ちなみに私は、プライベートブランドのビール類を普段購入していたので、特に影響ありませんでした。

ここまでは今回の酒税法等の改正の話ですが、私が情報を整理しようと思っているのは今後の話、平成29年4月に成立した改正内容のほうです。

2018年4月1日施行
気になる変更点は次の点です。
ビールの定義変更:麦芽比率67%以上→50%以上

つまり発泡酒の一部が、改正酒税法の施行に伴い、ビール扱いになり、かかる酒税が23.5%アップします。こうなるとビールのほうがいいですよね。

2020年10月1日施行(経過措置期間)
気になる変更点は、酒税の税率が、ビール9.1%ダウン、発泡酒6.2%ダウン、新ジャンル35.0%アップ、清酒8.3%ダウン、果実酒12.5%アップ

ビール、発泡酒、日本酒、が安くなり、新ジャンル(第3のビール)、ワイン、が高くなります。それでも新ジャンルのほうが税率そのものは割安なので、きっと今まで通り新ジャンルを飲むでしょう。

2023年10月1日施行(経過措置期間)
現行の税率を基準とすると、酒税が、ビール17.7%ダウン、発泡酒13.0%ダウン、新ジャンル67.8%アップ、清酒16.7%ダウン、果実酒25.0%アップ

2026年10月1日施行(改正後)
現行の税率を基準とすると、酒税が、ビール29.5%ダウン、発泡酒13.0%ダウン、新ジャンル93.8%アップ、清酒16.7%ダウン、果実酒25.0%アップ

最終的には、ビール類の税率一本化、日本酒やワイン等の醸造酒類の税率一本化、となります。こうなると発泡酒と新ジャンルの存在意義がなくなるので、淘汰されるでしょう。

この酒税の税率変更は、ビールと日本酒を好んで飲んでいる人には朗報ですね。一方で、新ジャンルやワインを好む人には財布に痛い改正かもしれません。

ただし、この酒税法改正には抜け道を残しています。それは、新ジャンルに近い部類の「ホップ及び一定の苦味料を原料としない酒類」の税率は、現行の新ジャンルの税率の25%アップに抑えられています。この条件を満たす新しい新ジャンルの飲み物に期待です!

。。。その新しい飲み物が出てこなければ、10年後の私の晩酌は日本酒中心になっているでしょう。